天からの封書を開けよ

どうでもいい日常の中から捻り出して綴っていきます。

百周年記念事業と募金と基金を分析する

最近、どこの大学も学内外から募金してもらって教育研究資金としている。そして一部の大学はそれを基金として運用・活用するようにしている。
最近、どこの大学も創立○○年記念事業が活発である(情報化が拍車を掛ける)。そして、募金を行い、それを原資に教育研究促進・施設環境整備・国際化・記念行事などを行う。

さて、記念事業と、その中で行われる募金活動(とその使途)と、常時訴えている基金への協力願いはどのような関係なのだろうか。記念事業で行っている募金活動は、基金に等しいのか。記念事業に用いるために基金とは別に資金を集めているのか。記念事業の一つが基金なのか。この疑問は、アニバーサリーを迎えているどの大学にも当てはまるだろう。特に、整合性の確保が下手な大学に顕著に表れる。

九州大学は2011年に100周年を迎えます」。

我が九州大学もその状況にある。2011年の百周年を控え、同記念事業の準備が進む中、募金の呼びかけと九州大学基金創設の広報がされている。さて、九大の場合、
1.百周年記念事業の一つが九州大学基金創設で、同基金は教育研究などだけに用いられ、同事業には用いない
2.百周年記念事業の一つが九州大学基金創設で、同基金は教育研究などの他、同事業にも用いられる
3.百周年記念事業のための募金と九州大学基金創設のための募金は別々に行われている
のどれか(候補はまだあるかも知れない)。さらに物事を複雑化する要素として九州大学後援会と九州大学学生後援会が、そして名前だけで中身が無い九州大学教育環境整備基金が存在する。国が歳入庁(仮称)創設を計画していた理由が分かるほど、資金調達の手段が多い。

とにかく、百周年記念事業と募金と基金について決着をつけたい。そのために2つ材料を用意した。
まず1つ目の材料。「百周年記念事業募金」に関して概要を記載したWebページに併載している総長あいさつである。

九州大学は明治44(1911)年、20世紀の日本を担う拠点大学として設立され、平成23(2011)年に百周年を迎えます。
これまでの百年は箱崎の地を中心に、近代日本を支え・発展させる人材、12万人の学部卒業生、7万人の大学院修了者を送り出してきました。
平成16(2004)年の国立大学法人化を経て、平成17(2005)年に設立の地箱崎から新たな伊都キャンパスへ移転を開始し、新天地において新世紀の九州大学として、さらなる充実と飛躍を目指します。
さらに伊都キャンパスは、新世紀の九州大学の拠点であると同時に、地域社会や産業・経済界と連携した新しい学術研究都市づくりの拠点としての役割を担います。
今、九州大学は、世界が、そして人類が希求する知を先導すべく、グローバル化するアジアの学術リーダーとして「知の新世紀を拓く」拠点の構築を目指しています。 新たな知の創造の場を建設し、新時代のフロンティアを切り拓く人材の育成を目的として、百周年記念事業を次の通り企画いたしました。

1.教育研究環境の整備充実を図るための九州大学基金(仮称)の創設
2.生涯学習時代に対応する社会人等の受入れ推進事業
3.産学連携・地域連携等推進事業
4.国際交流推進事業
5.九州大学百年史の編纂と記念式典・記念シンポジウム等の開催

来し方百年の歴史を踏まえ、新世紀の空間伊都キャンパスに踏み出す、時・空のけじめにあたり、卒業生ならびに教育界、経済界、行政・地域社会にわたる関係各位の絶大なご支援をお願い申し上げます。

平成20年10月
九州大学百周年記念事業委員会委員長
総長 有川 節夫

総長あいさつから判断するに、百周年記念事業として九州大学基金創設、生涯学習事業、産学地域連携事業、国際交流推進事業、記念行事の5本を行う、だからこのための支援をいただけないか=寄付していただけないか、となる。総長あいさつの直下に書かれた百周年記念事業募金の概要には目的や使途は記載されていない。そして、なにより百周年記念事業募金と銘打っているのだから、募金は九州大学基金創設を含め記念事業全体に用いられると考えられる。このことから、「2.百周年記念事業の一つが九州大学基金創設で、同基金は教育研究などの他、同事業にも用いられる」が正しそうだ。

次に2つ目の材料。九大公式Webサイトに設置されている意見箱(Q-ボックス)に掲載された質問と回答である。

質問
 会議等で度々100周年事業への寄付を行うようにとのアナウンスをいただきますが、具体的な使用目的がはっきりしないまま、ただ寄付しなさいといわれても、できません。周囲の方々も同意見です。私は伊都キャンパス勤務ですので、例えばですが、新キャンパスの桜並木を充実させるためですとか、九大学研都市駅からのバス本数充実のための補助金にするとか、多くの方が納得するような使用目的を 挙げていただけないでしょうか。価値観は人それぞれだとは思いますが、少なくとも私が耳にする限りでは、式典ですとか、記念碑ですとか、そのようなものに貴重なお金を出すことに賛同はできない方ばかりです。もし、具体的な使用目的があるのであれば是非、お聞かせいただければと存じます。どうぞ宜しくお願い 致します。

回答
 百周年記念事業寄附金の使途について、説明不足でご理解をいただけていなかったことについてお詫びいたします。
百周年記念事業では,皆様からいただいた寄附はすべて「九州大学基金」として整備します。百周年記念事業のコンセプト・スーローガンの趣旨に沿って基金を活用し, 九州大学が知の新世紀を拓く世界の拠点大学として更に飛躍するために,様々な支援・助成事業を展開していくことにしています。
 本学の教育・研究・診療活動の充実とそのための環境整備の支援,奨学金等の充実,国際・社会・文化・体育活動等の支援・助成,産学連携・社会連携活動等の支援,卒業生等 との連携活動等の支援,国際交流および留学生の支援,キャンパス内の環境整備・美化の支援等のために基金を活用します。
 来年5月には、国内外の方々に、九州大学の教育・研究への取り組み、今後の本学が目指す将来像をご理解いただくために百周年記念の行事を計画しておりますが、皆様方からご寄附い ただいた貴重なお金ですので、寄附金はすべて「九州大学基金」の整備に充て、式典等これらの行事には使用いたしません。「九州大学基金」が、九州大学の飛躍の基盤となるよう、少しでも多くの基金が準備できますよう皆様のご協力をお願いいたしております。(総務部百周年記念事業推進課)

この質問と回答から判断するに、百周年記念事業募金(回答では「百周年記念事業寄付金」という新出単語が登場するが間違いだと信じたい)でいただいた寄付金は全て九州大学基金に充てる。そしてその基金は教育研究などの大学の日常業務に活用される、それはすなわち、教育研究の他は生涯学習事業、産学地域連携事業、国際交流推進事業に等しい。ただし、百周年記念事業であっても式典などの行事には用いない。このことから、「1.百周年記念事業の一つが九州大学基金創設で、同基金は教育研究などだけに用いられ、同事業には用いない」が正しそうだ。

どっちだ。総長と百周年記念事業推進課、どっちが正しいことを言っている。それとも、どちらの主張にも沿うように、こちらに都合よい解釈を強いるというのか。それならば、そうしよう。以下、結論。

九州大学は2011年に100周年を迎えます」。そこで九州大学は、九州大学基金創設、生涯学習事業、産学地域連携事業、国際交流推進事業、記念行事を5本柱として記念事業を計画した。同時に、記念事業資金とするため募金活動も行うが、いただいた寄付金は全て、記念事業の一つである九州大学基金創設に充てることとする(建物などの寄付は例外)。この九州大学基金は教育、研究、生涯学習、産学地域連携、国際交流推進など大学の日常業務に用いられる。記念事業生涯学習事業、産学地域連携事業、国際交流推進事業と、日常業務のそれらの違いは、規模の違いや百周年を変革のタイミングとしただけであり、記念事業の一つであるが大学の日常業務でもあるので九州大学基金が用いられる。結果として、あくまで結果として、記念事業5本柱のうち4本に募金で得られた寄付金が活用される。残りの記念事業の記念行事は、これは大学の日常業務ではないので九州大学基金の対象外である。なので記念行事には募金で得られた寄付金は用いない。

百周年記念事業募金の使途は九州大学基金創設だけだが、同基金創設そのものは百周年記念事業の一つだから名称は百周年記念事業募金。九州大学基金は記念行事以外は何にでも使える。だから結局は百周年記念事業全体に用いられるに等しいと言っても過言ではない。これらをまとめると総長あいさつが出来上がる。これらの一部を説明すると百周年記念事業推進課の回答が出来上がる。以上。

九州大学百周年記念事業「知の新世紀を拓く」http://100th.jimu.kyushu-u.ac.jp/

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